山でバテないためのトレーニング①

私はよく「山に楽に行けるトレーニング方法を教えてくれ」と言われる事がありますが、その時は「山に沢山行くことです」とお答えします(理由は一番最後のマトメで書きます)。ただ、一度山に行って鍛えられた筋肉は、通常約2週間で元に戻ってしまうとも言われています。だからといって、毎週山に行くわけにもいきませんよね。
登山は1日数時間を何日も歩く場合もあり、他のスポーツに比べると特殊と言えると思います。そんな特殊性からも、なかなか街中で有効なトレーニング方法が見つからないのではないでしょうか?

ただし、トレーニング以上に技術面(歩き方・ザックの背負い方など)が未熟で、無駄な体力を使っている場合も多いため、私は技術の習得の方が優先と思っています。そうは言っても、日頃のトレーニングもそれなりの効果はありますので、技術習得とトレーニングは車の両輪のようなものだと思って下さい。

ここでは、実際私が行っているトレーニングや考え方を、できるだけわかりやすい言葉で何回かに分けて書いてみる事にします。

登山に必要な主な身体能力とは?
 ↓
①筋力 ②持久力 ③バランス力 といった所でしょうか?
 まずは筋力について説明します。

筋力について

登山の場合、ザックを背負うには背筋・腹筋、ストックを使えば腕の筋力など色々な筋肉を使いますが、あまり広げてしまうと書き切れないし読むのも大変なので、ここでは下半身(モモやふくらはぎ)についてのみ書きます。
下半身の筋肉で一番有名なのは、大腿四頭筋(太ももの前にある筋肉)です。登山をした翌日に痛くなる方が多いと思います。この筋肉は登り下りの時に多く使うもので、街中の通常の生活では使うことが少ないです。そのため、特に標高差のある山に行ったりするとこの筋肉が疲れ、バテる原因にもなります。
もう1つの下半身の筋肉としては、ふくらはぎ(下腿三頭筋)があります。この筋肉は、岩場など安定して足を置けない登山道などの時に、負荷がかかります。また、正しい歩き方の「フラットフィッテング(足の裏全体で地面を捕まえる歩き方)」ができないとすぐ疲れてしまい、足がツルなどの原因になります。

フラットフィッテングについては、「歩行技術について」で説明していますので、そちらをご覧ください。

下半身の筋力アップのためのトレーニング方法

まず、誰でも知っているスクワットですかね?(頭に手を当てて膝を曲げる運動)。今のスクワットは、あまり深く膝を曲げる必要はなく、手を頭の上に挙げて行うと負荷が上がります。回数は年齢にもよりますが、最初は30回前後を2セット位でしょうか?
ふくらはぎの筋肉のトレーニングには、よく本に書いてある壁に手をついて踵を上げる動作があります。こちらは、普段やり慣れていない人はやや少なめの20回前後で、同じように2セット位で良いかと思います。

この2つの運動はまさに筋トレなので、ちょっと重いという人には自転車階段昇降があります。こちらは、それぞれ利点・欠点があります。
自転車の利点は、ある程度長い時間の運動が可能なので効果が期待できますが、欠点は山を下る時の筋肉を鍛える事ができません。
階段昇降は、下りの筋肉も鍛えられますが量が問題です。仮に標高差1000mの山を想定して階段に例えると(1段15cmとして)6600段あります。せめて10%の負荷をかけてトレーニングしたいと思った場合600段必要で、駅の階段の数十段では不十分です。

私はふくらはぎのトレーニングとしては、バランストレーニングも合わせて片足立ちをしています(必ずフラ付いたら壁などに掴まれる場所で)。やってみるとわかりますが、かなりふくらはぎを使います。時間は、最初は2分位を目標にしてはどうでしょうか?

私の場合は一応プロですから、ここに書いたような運動を組み合わせてそれなりの回数をやっていますが、皆さんの場合は最初は少なめに、段々負荷を上げていくと良いかと思います。
トレーニングを続けるコツは、「辛くない」「短時間でもできるモノを含む」など、自分で工夫することも大事です。

次回は持久力について書きたいと思っています。
※変更してバランストレーニングについて書きます。(10/6追記 )