山での落雷について①

夏山で怖い事の一つに落雷がありますよね。予測するのはもちろんですが、初心者の方はどうしたら良いのかわからないのが本当の所だと思います。でも、ただ怖がっているだけでは何の対策もできません。少し勉強するだけでも落雷による事故が防げる可能性はあるので、ぜひ一緒に勉強しましょう。
ただし私は気象予報士でもないので、自分の知る範囲で、できるだけわかりやすく説明したいと思います。今回は、雷の中でも夏山で起こりやすい「熱雷」についてのみ書いてみます。

(1)雷について知る

雷が発生する雲は積乱雲(別名:雷雲とか入道雲)ですが、この雲は積雲(写真左)から上昇気流により大きい雄大積雲(写真右)と変化していき、さらに上空の寒気による気温差で氷の粒ができて、不安定な気流が原因で激しくぶつかりあって電気が発生するそうです。

ここで言いたいのは、雷雲が発生するためにはいくつかの条件が必要だということです。

①上昇気流の発生
日中の強い日差しなどにより地上の空気が熱せられ、上空の低い気温の所に空気が流れ上昇気流が発生します。

②発生には上空に寒気が必要
天気予報でよく、「大陸から××××の高さに××度の寒気が入ってきます」と言う時があります。地表の温度と上空の温度差があるほど大気が不安定となり、積乱雲が発生する確率が高くなります。

③積乱雲は最初から積乱雲ではない
最初に説明したように、積雲から雄大積雲などの過程を経過して、落雷を起こす積乱雲になります(ただし条件によっては、短時間でこの過程を経過することはあります)。

(2)初心者ができる雷の予測について

時期や場所によっては、かなりの日数、雷注意報が出されることがあります。これは、絶対にこれから行く山に雷が発生するというわけではありませんが、可能性が高いのは確かです。さらに詳細な天気予報を確認したり、ルートの変更などを考えておく必要はあるでしょう。

①天気予報で「大気が不安定」という言葉に注意
これは何度も書いているように、上空に寒気が入り地表との温度差が高い場合に、色々な条件で大気が不安定になり、雷が発生する確率が高くなるからです。

②現地ではできるだけ雲の観察をする
たとえば同じ積雲でも、できては消える積雲(これは比較的晴れの日に発生)や、午前中早い時間なのに雲の下が黒く見える積雲などは、積乱雲になる可能性があります。
また、雲の発達状態(特に高く大きくなる場合は注意)をチェックすることも大切です。

③雷雲のチェック
現在は電波が届く所であれば、携帯電話やスマートフォンでも気象レーダーによる情報が取れます。私も、有料サイトですが山岳専門のサイトを利用しています。それ以外だと、東京電力のサイトもとても有効だと思いますので、色々自分にあったサイトを探してみて下さい。

だいぶ文章が長くなってしまい申し訳ありませんm(__)m
次回は実際の山中での対応について書きます。