山での落雷について②

今回は、山中でゴロゴロという雷の音が聞こえて来たらどうするかについて書いてみます。

(1)現在地と積乱雲(以下雷雲と省略)までの距離を予測する
①通常雷雲の移動速度は時速10km~20kmと言われています(つまりママチャリ位でしょうか?)。また一概には言えませんが、移動方向も東及び南東に移動する事が多いようです。
ラジオを持っているならAM局で最初に雑音が入るのが雷雲から約50kmで、もし雷雲の移動速度を時速15kmとすると、こちらに来るまでに3時間以上かかる事になります(最近は山にラジオを持って行く人は少なくなりましたが、雷注意報などが出ている時だけ持って行くのもありかもしれませんね)。
同じように光っても音が聞こえない時も40km位は離れていて、また最初に雷鳴が聞こえた時で約10km位距離があり、この場合到達までに約40分。さらに音速は秒速340mなので、光って10秒後に雷鳴が聞こえれば3・4kmの距離で14分後に雷雲が来る事になります。
ここで言いたいのは、遠くで雷の音がした時にただ怖がったり慌てたりするのではなく、雲の動く方向や距離を冷静に判断する事が大切だと思います。但し急に雨や冷たい風が吹いてきた時は、雷雲の真下にいると思って退避行動を即実施する事です。

(2)雷が落ちやすい場所を知る
①昔は金属に落ちると信じられていましたが、基本雷は何処にでも落ちます。ただ強いて言うなら、より高い所で尖った物の方が落ちやすいそうです。具体的に言えば頂上付近や尾根上、広い野原(人が避雷針になってしまう)や高い木などまた避雷針のないあずま屋も危険です。突然の雨と雷で大きな木の下に雨宿りするのは、山中でやってはいけない危険な行為です。
②ストックや傘などはザックから外し、地面に横に置く。これは金属だからではなく、高くとがった所に落ちやすいからです。
※側撃雷について(落ちた雷が周りの物や人に電流を飛ばす事)
側撃雷によって被害を受ける事が多々有ります。高い木の下では4mは離れ、たとえ山小屋の中にいても壁からは1mは離れるべきです。

(3)できるだけ安全な場所とは?
①基本、山中では絶対に安全な場所はないと思われます。但し比較的安全な場所としては、高い木(30m以上)からは4m位離れ、木の天辺を45度で見上げる場所(写真左の青い部分)は安全と言われています(保護範囲と言われます)。とにかくできるだけ低い所で、雷雲が通り過ぎるのを待つことです。
②側撃雷を受ける確率はゼロではありませんが、樹林帯の中では当然人より周りの木の方が高いので、少なくとも稜線にいるよりは安全と思われます。
③運良く近くに避雷針のある小屋があれば、一番安全と思われますので、そこへ避難するのがベストです。

(4)退避行動とは?
①姿勢は低く屈み、両手で耳を塞ぎ、両足はできるだけ狭くする(写真右)。理由は、低い方が少しでも安全、耳の鼓膜を守る、片足から全身が感電して片足から抜けるのを防ぐためです。寝そべったり手をついてはいけません。

年間で雷によって死亡する人は約20人位だそうです。山以外では、釣りの方やゴルフもしくは農作業中の方も結構被害に遭っているようです。不謹慎かもしれませんが、宝くじに当たるより雷事故の確率は低いそうですから、できるだけの事をして後は天命を待つと言った感じでしょうか?(^:^;