歩行技術について

安全に山を楽しむには、普段のトレーニング・荷物の軽量化・歩行技術・ルートファインデングなどなどの総合的技術が必要です。
ここではそのごく一部の「歩き方」について書きます。

●共通の技術

★登りでも下りでも足の裏全体を地面に水平に置き加重
⇒この歩き方を “フラットフィッテング“ と言います。
よくウォーキングで行う、踵から入ってつま先で蹴る(写真上段左)という動作は、山では通常しません。フラットフィッテングで歩くと、靴底のパターン全体で地面をしっかり捕まえることにより、安定した歩きになり、スリップ防止にもなるからです。
ちなみに蹴り足は、比較的小さいふくらはぎの筋肉を多用するという意味でも、重い荷物を持ち長時間活動する登山には向きません。

★歩幅は狭めに
歩幅を広くして歩くとバランスの保持が難しくなり、無駄に筋肉を使うことが多くなってしまい、その結果、より疲労する可能性があります。
また歩幅を狭くし、意識的にお尻の筋肉などを使うようにして歩けば、大きい筋肉で登ることができるため、長時間歩ける可能性が高くなります。
(簡単に言えば、ふくらはぎなどの小さい筋肉より、お尻の大きい筋肉の方が持久力があるということです)

●登り方について

大きな段差は(階段など)は、段差の直下に足を置いて(写真上段右)、上げる足もあまり遠くに着かないようにします。また段差の中間などに安定して足を置ける場所があるなら(安定した岩など)、それも利用して細かく登って行きます。
方向転換する場所では、方向を変える時に山側の足を少しだけ進行方向に向けます(写真下段左)。
※方向転換前の山側の足は、転換後には谷側になります。

●下り方について

登りより下りの方が歩幅は狭く、斜面が急になったらさらに狭くします。この動作により、下りでも足裏全体が地面を捕まえることが可能となります。
初心者の方が歩幅を小さく歩く方法としては、つま先側から地面に着地して、その後足の裏全体をスムーズに降ろすと良いかと思います(つま先が先だと歩幅を広くして歩くのは困難になりますから)。
急斜面の下りでは、特に踵の位置よりお尻が後ろの方にいかないように意識して歩くことが大事です。多くの人は、怖いのでお尻が後ろになり、重心が足にしっかり乗っていないのでスリップをしている人がほとんどだと思います。
※写真はお尻が後ろになっている悪い例です(写真下段右)

このような技術的なことを、文章や少しの写真で表現するのは大変難しく、うまく伝わっていないかもしれませんが、少しでも参考になれば嬉しいです。m(__)m


(写真上段左) 山ではやらない方がいい踵から入ってつま先で蹴る例
(写真上段右) 段差を上がるときは直下に足を置く
(写真下段左) 方向を変える時に山側の足を少しだけ進行方向に向ける
(写真下段右) 下りでお尻が後ろになっている悪い例