雪上歩行技術②(アイゼンを装着しての歩行)

初めに

前回も同じ事を書きましたが、アイゼンの効果をより完璧にするには、アイゼン無しでの歩行が重要と考えています。確かにアイゼンは雪上、特に凍った雪の場合は安心・安全に歩くことができまるので装着することに異論はありませんが、基本の動作であるフラットフィッティングは同じです。ぜひこのフラットフィッティングを身に付けて下さい。


どこで装着?

できれば、安全な樹林帯の途中でアイゼンを装着しましょう。慣れない初心者が風の強い稜線上で、特に手袋を付けてアイゼンを付けたり、いきなり危険な場所をアイゼンで通過することは難しいです。また早く付ければ、アイゼン装着状態の良い悪いも確認できます。アイゼン歩行に慣れてから、稜線などを歩くことができるように早めに対応してください。
また下山者がアイゼンを装着している場合は、その先はアイゼンが必要な状態であると言えるかもしれません。


6本爪アイゼンの特徴

写真(下)のように、6本爪のアイゼンの爪は靴の中央にしか付いていません。12本の場合は前後にも爪がついています。従って6本爪のアイゼンは、靴の中央に重心を置くことで爪を雪面に有効に効かせることができます。このことを常に意識してください。

12本爪アイゼン
6本爪アイゼン

アイゼン歩行①  直登、斜登

樹林帯を抜けると風も出て来て、雪面も堅く締まっていることが多くなります。いよいよアイゼン歩行の本番です。アイゼン歩行の基本もフラットフィッテイングです。アイゼンの爪をすべて雪面にくい込ませるようにして歩きます。斜面が急になったら、足を逆ハの字に開いて登る方法もあります。もっと急になったら斜面を斜めに登ってください(斜め登行といいます)。その時の足の向きは山側の足が進行方向、谷側の足は爪先をやや外側に開いた足の置き方をします。

★アイゼン歩行の際、アイゼンの爪を自分のスパッツに引っ掛けないように注意してください。これによる転倒・滑落事故は珍しくありません。


アイゼン歩行②  雪と岩のミックス

岩稜帯では雪が風で飛ばされてしまうため、岩と雪が混ざったミックスの状態が多くなります。このような場所では、岩の上をアイゼンで歩くことになります。初心者の方はとても歩き難く感じるかもしれません。可能であれば、少しでも岩の所を避けて、雪面を選んで歩いた方が楽だと思います。


アイゼン歩行③ 直降、斜降

下りも登りと同じように、緩やかな下りもある程度の急斜面も、フラットフィッテイングでクリアできます。ただしもっと急になったら、斜めに下ってください。足の置き方は登り方と同じですが、谷足をさらに開き気味にしたほうが良いかもしれません。

★雪上歩行の場合、歩行とストックワークは(本来はピッケルですが)車の両輪のようなものです。こちらも十分に練習を積んでください 。